人は言葉を使ってコミュニケーションしています。テレパスでもない限り相手に気持ちや情報を伝えるには言葉を使わざるをえないのです。
ところが言葉を使うしかない故に言葉に縛られてしまうことがあるのです。
例えば演出家に「あなたのやっている演技は幼稚だ」と言われたとします。「幼稚」「幼い」「子供」といった言葉が頭に浮かび、できるだけ「大人」になろうと努力するでしょう。ところがいくら工夫を重ねても、やはり演出家には「子供っぽい」と言われていまします。
これは「幼稚」「子供っぽい」という言葉からしかイメージしていない弊害です。同時に演出家にも問題はあります。別の言葉に置き換えてみればいいのです。
Aという言葉が万人にとって全く同じ意味を持つとは限りません。「幸せ」にはいろいろな形があるでしょうし、「愛」にも様々な感じ方があるのと同じです。
役者は自分にすんなり理解できる言葉やイメージに変換している作業が必要なのです。更に言えば、自分が強く感じる言葉やイメージを日々自分自身に確認し続けなけらばならないのです。なぜなら、感覚は慣れてしまうと麻痺したり、新鮮さが泣くなってしまうからです。
おいらは役者にとって最もやっかいな物は「自分に頑固なこと」だと思っています。人にも自分にも素直になれば、同じところでじっとしていられなくなるはずです。
一歩踏み出せば、さっきとは違う景色が見えるのです。