vol.09 音量の調節 [9/28]

キャラメルボックスや劇団☆新感線は音楽が大音量で流れるとても賑やかなお芝居をする劇団です。そして一方に静かな演劇と呼ばれる手法も存在します。では、この二つはどこがどう違い、はたまたどこが似ているのでしょうか。

まず分かりやすい大きな違いは、「音量」でしょう。役者が台詞を言う声の大きさです。しかし、これは劇場の大きさやマイクの使用などによって変わってきます。新感線はサンシャイン劇場でやる時は比較的大きな声でやっていると思いますが、青山劇場や新橋演舞場ではマイクを使っているので普通の音量のはずです。キャラメルボックスでも以前は大きな声を出せと言われていましたが、役者の発声が良くなるにつれて、どなるのはやめてくれと演出家にダメを出させるようになりました。

新人はエネルギーが足りないので音量を求めますが、ベテランにはより細かいニュアンスが期待されているようです。

音量の問題でさらに付け加えると、音楽がどんな音量で流れているかによっても違いますよね?そして、これが意外な点なのですが、「お客さんの笑い声」も重要なポイントになってくるのです。

おいらは今、加藤健一事務所に出演しています。共演している方は皆、無理のない発声をしています。それは稽古場と劇場と差がないくらいでした。しかし、幕が開いてからのお客さんの前では少し事情が違いました。それは今回のお芝居はライトコメディーなので、お客さんの笑いが絶えないのです。すると役者はお客さんに聞こえるような声でしゃべらなくてはならない瞬間が出てきます。

加藤健一さんが楽屋で言っていました。「おおざっぱな芝居だなぁ〜(笑)笑い声が多いからどなってばかりで、喉が痛いよ。細かい芝居も伝わらないし…」

カトさんは本当に繊細な演技をする方です。そんな役者さんでもお客さんに聞こえるようにするためには、自分のやりたい演技をひとまず横に置いておくのです。台詞は聞こえなければ絶対に伝わりませんからね。

静かな芝居と呼ばれるもので、客席が爆笑の連続ということはないのではないでしょうか。静かなお客さんだから、大きな声が必要ないとも言えると思います。

しかし、基本は一緒なのだと思います。喉に負担のかからない聞き取りやすい声で話すことが、役者にもお客さんにも一番良いのですから。

「ラン・フォー〜」の稽古中、演出の綾田さんが言った言葉があります。台本に「あ〜〜〜〜〜〜っ!!」と書かれている台詞がありました。感情が激して発した絶叫と読み取れました。しかし、綾田さんは「別にどならなくてもいいからね、喉にきちゃうし。それに低い声で『う〜〜〜』ってやってもニュアンスは出るから」

無理をするとこは意味がないんだと、おいらは理解しました。自分に負担がかかりそうに思ったら、違う手段を探せばよいのです。

大きな発見でした。

次へ >>